(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)について)
これまでのインフルエンザワクチンにはいくつか課題がありました。一つは、痛いこと。二つは腫れる方がいること。三つは毎年接種しても、かかってしまうことがよくあること。
現在ほとんどのワクチンが注射ですが、粘膜(経鼻)投与するワクチンの開発研究が行われています。粘膜ワクチンには様々なメリットがあります。まず注射ではないので、注射が苦手な小児に受け入れやすいこと。初期感染部位(鼻粘膜)と血中にも免疫を誘導できること。医療従事者が針刺しのリスクが減ること、などです。
2024年度から2歳以上19歳未満の小児のインフルエンザ予防に、鼻腔内に噴霧する弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)の接種をすることができるようになりました。アメリカやヨーロッパでは10年以上前から経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが主流です。
・投与方法
両側の鼻の粘膜に噴霧します。注射ではありません。
・概要
A型2種類、B型1種類が入った弱毒化された生ワクチンです。流行している株と違ったウイルス株でも予防効果があります。
これまでの不活化ワクチンでは血中の免疫(IgG抗体)を作ることがワクチンの主な効き目でした。今回の生ワクチンは、血中の免疫だけでなく、ウイルスが侵入してくる鼻粘膜に免疫(IgA抗体)を作ることができるため、効果が高いです。不活化ワクチンでは効果は半年以内に効果がきれてしまいますが、生ワクチンでは1年程度は効果が続きます。
・接種対象
2歳以上19歳未満 1回接種
(これまでインフルエンザ予防接種を1回も接種したことがない方、これまで1回もインフルエンザに罹患したことがない方は効果が得られない可能性があります。)
・接種できない方
- 副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を内服している方
- 周囲に免疫不全の方がいる方
- アスピリン内服中の方
- ゼラチンに対してアナフィラキシーの既往のある方
- 5歳未満で喘息または喘鳴の既往歴のある方
- 1年未満に喘息発作を起こしたことがある方
- 4週間以内に他の生ワクチン(MR、おたふく、水痘など)を接種した方
・料金
8500円(税込み)(神戸市助成の対象となりません。)