マイコプラズマ核酸検出検査(LAMP法)について

夏になりマイコプラズマ感染症が流行し始めました。年齢は小学校以上の年長児です。肺炎マイコプラズマは自己増殖可能な菌ですが、他の細菌と異なり細胞壁がないので、ペニシリンやセフェム系の通常の抗菌薬は効果がありません。

潜伏期が2-3週間程度と長く、感染してすぐ症状が出るわけでないので、インフルエンザのようにどんどん広がるわけではありません。症状は発熱と咳嗽が主で、鼻汁はありません。咳嗽は発熱の後から出てくることもあります。胸痛も比較的よく見られます。発熱は数日、乾性咳嗽は長期にわたって長引き、胸部単純レントゲン写真では肺炎像を呈するため、みなさんびっくりされますが、細菌性肺炎と比べて重症になる方はあまりいません。小学生以上のお子さんはこのような症状になりますが、3歳くらいまでのお子さんが発熱が続く、肺炎になる、といった症状を呈することは非常に少ないです。

肺炎マイコプラズマの診断が難しいことの理由に、病原体の検出が難しいことがあります。迅速抗原検査の精度も上がっていますが、偽陰性(本当はマイコプラズマ感染症だが、陰性になること)を呈することが多いです。当院では発熱と咳嗽が続く、鼻汁がない、家族歴があることを問診で確認後、拡散検出(LAMP法)で検査を行っています。2日間結果判明にかかりますが、精度が高いと考えています。

治療はマクロライド系(クラリスロマイシン)の抗菌薬の内服を行います。小学校高学年以上には、テトラサイクリン系(ミノサイクリン)を処方することもありますが、歯牙黄染と肝機能障害が有害事象としてあるので、説明を行って納得された方に処方します。マイコプラズマ感染症は、治療しなければ必ずしも治らない疾患ではないので、抗菌薬内服については丁寧に説明の上処方しています。