BCGワクチン
BCGワクチンは結核のワクチンです。結核は世界で毎年300万人が亡くなっています。15歳未満の小児は世界で毎年30万人が亡くなっています。子どもは全身の結核や髄膜炎を起こしやすく重症化しやすいといわれています。日本は同じ先進国である欧米と比較すると、世界でも結核罹患率はとても高く、結核がまだ多く蔓延している国です。
日本では経皮接種法といわれる、9個の針がついた円筒を使い、結核の弱毒菌を皮膚に押し付ける接種方法で行われます。これは日本特有の方法です。発展途上国では費用の問題から、結核予防注射は、皮内注射という方法で行われています。
乳幼児に対するBCGの効果は高いことがわかっています。そのことから、結核が多い国では1歳未満での接種を行う、とされています。欧米と比較すると日本は結核患者が多い国ですが、乳幼児の結核は欧米と比較しても発生率が低く、BCGの効果が示唆されています。
BCGワクチンは、黄熱ウイルスに対する感染防御など、先天性免疫応答を調節し、結核以外のウイルス感染から防御する可能性が指摘されています。
しかしBCGは乳児に対する結核のワクチンであり、成人や高齢者に対する知見では十分ではありません。成人にBCGを接種しても、結核を予防する効果ははっきりしていません。むしろ全身の結核感染症や骨炎の発症や、結核の既往の方やBCG菌に対する免疫を有する方にBCGを接種すると、局所の潰瘍を起こすなどの強い副作用が起こることが予想されています。BCGを成人に行うことは不要です。