アレルギー性鼻炎(通年性)
アレルギー性鼻炎は、ダニやハウスダストが原因です。1年を通して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状があるため、通年性アレルギー性鼻炎といいます。目のかゆみが出ることもあります。
診断はまず詳しく問診を行います。両親や兄姉のアレルギー歴も大事です。原因を特定するためにダニやハウスダストのアレルギーがあるかの血液検査を行います。当院では、小学校や中学生など、採血の同意を得ることができる年齢になってからの採血を勧めています。
治療はまず環境整備が重要です。ダニやハウスダストが原因の場合、カーペットや布団をこまめに掃除すること、布のソファーやカーペット、畳をできるだけやめること、室温や湿度に注意すること、寝具を干すこと、などを行います。干した寝具に掃除機をかけることも大事です。
薬は内服、点鼻、点眼を行います。以前の内服薬は眠たくなるものが多かったですが、最近は眠たくならないものが主流となっています。1日1回のものと2回のものがあるので、症状の強さや効果のバランスを考えて処方します。漢方薬を追加することもあります。しかしこれらは対症療法といって症状を抑える治療です。
当院ではアレルゲン免疫療法である、舌下免疫療法を行っています。アレルギーの原因であるアレルゲンを舌下に1日1分なめるだけで、体をアレルゲンに慣らしていき、長期間にわたって症状を少なくすることが期待できます。すべての患者さんに効果があるわけではありませんが、症状が軽くなり、対症療法の薬を減らせる方が多いです。
花粉症
花粉症は、花粉がアレルギーの原因となります。ある季節だけ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状があるため、季節性アレルギー性鼻炎といいます。目の症状が強い方、咳症状が強い方、皮膚の症状が出る方もいます。日本を含めた先進国で、花粉症になる方が増えているといわれています。また、以前は小学校くらいから花粉症を発症する児が多かったのですが、最近は3~4歳くらいから花粉症を発症する児もおり、低年齢化が進んでいるといわれています。
診断はまず詳細な問診を行います。例えば、2月から4月ごろだけ、目のかゆみと鼻水鼻づまりがある場合は、スギ花粉による花粉症が考えられます。父母兄姉のアレルギー歴も大切です。
花粉症の対処方法は、まず外出時にマスクやめがねゴーグルをすること、室内に花粉を持ち込まないことなどを行います。帽子をかぶって外出し、玄関で花粉を払い、うがいや鼻かみなどをしましょう。原因となる花粉が飛散している時期は、洗濯物や布団は室内で干すほうがよいでしょう。
花粉症は春のスギやヒノキ科以外にも、夏や秋のイネ科や雑草などいろいろな種類があります。原因を特定するために何の花粉のアレルギーがあるかの血液検査を行います。当院では、採血の同意を得ることができる年齢になってからの採血を勧めています。
薬は通年性アレルギー性鼻炎と同じく内服、点鼻、点眼を行いますがいずれも対症療法です。
花粉症のほとんど方がスギ花粉による花粉症です。当院ではスギ花粉による花粉症のアレルゲン免疫療法である、舌下免疫療法を行っています。アレルギーの原因となる物質を継続投与することで体をアレルギーに慣らしてアレルギー症状をやわらげる治療です。
気管支喘息
気管支喘息の人は、咳や喘鳴がないときでも気道に炎症がおこっています。以前は喘鳴が悪化したときを中心に治療しましたが、最近の考え方は、咳の悪化や喘鳴をおこさないようにするための予防の治療が重要とされています。
最近、喘息のお子さんが増えています。ダニやハウスダストなどのアレルゲンの増加や衛生仮説といわれる清潔すぎる生活などがかかわっている可能性が考えられています。
喘息の治療は、喘息症状の回数、発作の程度、これまでの治療薬から、喘息の程度を評価してガイドラインを参考に治療方法を決めていきます。喘鳴を繰り返す場合は喘息の診断は難しくないですが、長引く咳が続く咳喘息の診断は簡単ではありません。咳の疾患は多くありますが、咳が続くようでしたら外来でご相談ください。
2歳未満の喘息を乳児喘息と呼びます。乳児は風邪をひくと、鼻みずがのどに落ち、たんがからんでゼイゼイすることがよくあります。風邪のゼイゼイと乳児喘息の鑑別診断はとても難しいですが、外来でわかりやすく説明いたします。
小児気管支喘息管理ガイドラインを参考に、薬物療法を決めていきます。内服薬や吸入ステロイド薬を使用します。同時にダニやハウスダストの対策や家族の禁煙も重要です。
食物アレルギー
食物アレルギーの原因は病型や年齢により異なります。食物に含まれるたんぱく質が食物アレルギーの原因となります。 乳児期の食物アレルギーは鶏卵、乳製品、小麦が多いです。学童期から成人にかけては果物、小麦、魚、甲殻類、ソバなどが多くなります。
食物アレルギーがどうして起こるのかは、完全にはわかっていませんが、少しずつ解明が進んでいます。①卵のアレルギーがあるかもしれないので、離乳食の卵はなるべく与えないほうがよい、とか②離乳食の開始を遅らせるのがよい、とか③卵を食べるからアレルギーになる、とか④血液検査の卵のアレルギーの数値があるから念のために食べないほうがよい、とか、などということは正しくないことがわかってきています。
以前、離乳食を開始する前にアレルギーの血液検査を行っていた時代がありました。しかし現在の食物アレルギーのガイドラインでは、離乳食を開始する前の健康な児に対してアレルギー血液検査は勧められていません。これは、鶏卵の血液検査を行うと、10人に何人かは検査の反応が出ます。しかし検査の数値が出ていても多くのお子さんは十分に加熱し量に気をつければ、鶏卵は食べることができるということがわかっています。最近の考え方は、必要ではない除去は行なわず、少量ずつ食べることができる量を食べることが重要とされています。
この考え方から、当院では不必要な食物のアレルギー血液検査は行っていません。食物アレルギーが心配な方、離乳食の卵などはいつから食べさせたらよいかなどの基本的なことを、わかりやすくご説明します。アナフィラキシーの既往のある方や強い食物アレルギーのある方は、ごく少量だけ食べて食べることをできる量を調べる食物経口負荷試験が必要です。アナフィラキシーの既往のある方や食物経口負荷試験が必要な方につきましては、適切な病院をご紹介させていただきます。
また最近のトピックスとして、学童期以降に花粉の感作が起こってからその後発症する口腔アレルギー症候群が最近増えています。メロン、キウイ、リンゴ、モモ、スイカなどの果物が原因となります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の悪化の原因は年齢によって異なります。乳・幼児期は食物が原因となることがあります。乳児湿疹がある場合は、問診、スキンケア指導、薬物療法、環境整備を行います。スキンケア指導は、お風呂での洗い方、せっけんをつかうかどうか、保湿薬の使い方、ステロイド外用薬の使い方、スキンケアと食物アレルギーやアトピー性皮膚炎との関係などについて、最近わかっていることをひとりひとりに合わせて丁寧に説明いたします。 保湿薬やステロイド外用薬などを適切に使用してスキンケアを行っても湿疹に改善がない場合は、適切な病院をご紹介いたします。
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